Archive for July, 2007

流刑囚リストをオンラインで公開

以前、オーストラリア流刑囚の記録文書がユネスコの世界記憶遺産に登録されたことを書いたが、イギリスの「祖先探し」のウェブ・サイト Ancestry.co.uk は7月25日、囚人としてオーストラリアへ島流しにされた人々の記録 “Convict Transportation Registers: 1788-1868″ をオンラインで公開すると発表した。

Ancestry は古い公文書を検索して自分の祖先を探せるサイトで、沈没したタイタニック号の乗船名簿など、多彩なデータを集めており、その一環で流刑者名簿を追加した。
今回公開した記録には、18世紀、19世紀に囚人としてオーストラリアへ送られた16万3021人の氏名などが記載されている。

yu_convict.jpg
Convict Transportation Registers のサイト

イギリス政府が流刑囚植民地として初めてオーストラリアに入植したのは1788年。以降約80年以上にわたり16万人を超える囚人がオーストラリアに送られた。
流刑がピークに達した1833年には、36隻もの船が7000人を植民地へ運んだ。イギリスからオーストラリアへの15000マイルに及ぶ船旅は、食料や燃料補給のための入港期間2カ月を含み8カ月間もかかったそうだ。
囚人の83%は15歳から30歳の男性で、75%は単純労働従事者だった。ただし殺人などの重罪を犯したものは2%とごくわずかで、大半の人々が犯した罪は軽いものだったという。
Ancestry は、200万人以上のイギリス国民が流刑囚人を祖先に持ち、400万人のオーストラリア人は流刑囚の子孫になる勘定で、祖先探しにぜひサイトを利用して欲しいと呼びかけている。
“The National Archives”に保管されている記録には、氏名、罪を犯した日付と場所、刑期、船名、出発日と送られた植民地名などが含まれている。また職業、配偶者の有無、宗教、釈放日も記載されているという。

囚人名を検索するには会員登録が必要。6.95ポンドで14日間に12件の記録を閲覧できるサービスのほか、14日間有効の無料トライアルもある。

Comments (1)

自民 歴史的大敗!

「自民 歴史的大敗」 今朝の朝刊各紙にはこんな見出しが躍った。
民主党が改選過半数に迫る60議席を獲得し、非改選や他の野党と共闘した当選者を合わせた野党勢力は、与党勢力を30議席近く上回った。自民党は37議席と惨敗。選挙権を得てから40数年、常に政権与党に批判票を投じ続けてきた私だが、正直言って予想を上回る衝撃的な結果だった。

国民は安倍政権に不信任の審判を下したのだ。この結果を素直に受け止めるならば、安倍氏は潔く首相の座を退くのが当然だろう。
しかし、彼は「私の国づくりはスタートしたばかり。これからも首相として責任を果たしたい」と述べて政権にとどまる意向を表明した。まったく理解に苦しむ。

今朝の朝日新聞のコラム「天声人語」に、こんな文章が載った。

古代ギリシャの哲学者タレスは天文学にもたけていた。ある夜、星の観測に熱中するあまり、井戸に気づかずに落ちてしまった。使用人が冷やかした。「あなたは天上のことは知ろうとするが、足元のことはお気づきにならない」▼よく知られた逸話に、安倍自民党の大敗が重なる。首相になってからの安倍さんには、望遠鏡で遠くの空ばかり眺めていた印象が強い。いわく「美しい国」「憲法改正」「戦後レジーム(体制)からの脱却」……。大構えなテーマは、彼の思い描く夜空に、星座となってきらめいていたのだろう。▼だが足元には疎かったようだ。暮らしを脅かす格差に無頓着だった。政治とカネの醜聞につまずき、年金問題という井戸に落ちた。それからが正念場だったはずだが、腹を据えて空を仰ぎ続けるでもなく、取り繕いに追われた。▼「政治家は次の時代を考え、政治屋は次の選挙を考える」という。首相就任時には、安倍さんは政治家だったかもしれない。だが井戸に落ちてからは、動揺したのかすっかり政治屋になってしまった。脆(もろ)さに失望した人は、自民支持層にも少なくなかっただろう。▼タレスは、万物は水から生まれ、水に還(かえ)ると、宇宙の原理を説いた。その水を庶民に、為政者を舟になぞらえたのは、中国の思想家の荀子だ。「水はすなわち舟を載せ、水はすなわち舟を覆す」▼民衆は政権を支えもするが、不満ならひっくり返す。それが一票の力だろう。舟が覆ってなお、首相は泳ぎ続けるそうだ。民意の波は相当荒いのだけれど。

舟が覆って泳ぎ疲れてそして溺れるまで、とてもそこまでは待てないと思うのだが……

Comments

ドル高、驚くに当たらない=豪RBA総裁

オーストラリア準備銀行(RBA)のスティーブンス Glenn Stevens 総裁は18日、講演後の質疑応答で、ドル高が続いていることについて、交易条件の大幅な改善を考えれば驚きではない、との見方を示した。

glenn_stevens.jpg
RBAのスティーブンス Glenn Stevens 総裁

同総裁は、オーストラリアは自国産コモディティ価格上昇の恩恵を多大に受けてきた、と指摘。それに対して、多くの輸入品は価格が下落しており、その結果、交易条件は30年ぶりの水準に改善している、という。
同総裁は「豪ドルが上昇していることに意外感はない」と述べた。豪ドルは18日、0.8783米ドル付近に上昇し、18年ぶりの高値を更新。貿易加重平均ベースでは、20年ぶりの高値水準にある。
一方で同総裁は、豪ドルは対米ドルや対円ではかなり高い水準にあるが、カナダ・ドルやニュージーランド・ドル、ユーロに対してはそれほど高くはない、との認識を示した。 「ユーロ、カナダ・ドルといった他の変動相場制を採用する通貨と比べれば、正常な水準からそれほどかい離していない」と発言。「おそらく、ニュージーランド・ドルに対しては、少し安めの水準にあるだろう」と述べた。

市場関係者は、総裁の発言について、RBAが豪ドル高を過度に懸念していないことを裏付けるものだと指摘。豪ドル高を抑制するために、RBAが過剰に介入することはないだろう、との見方を示している。
ウエストパックの為替担当チーフ・ストラテジスト、ロバート・レニー氏は「一部諸国の中銀は自国通貨高を懸念しているが、RBAが豪ドル高を懸念していないことは明らかだ。その姿勢に変化が出るまで豪ドル高は続くだろう」と述べた。
豪ドルは、総裁発言の直後、一時0.8786米ドル近辺まで上昇、18年ぶりの高値を更新した。年明けからの上昇率は対ドルで11%。主要通貨のバスケットに対しても年初から9%上昇し、20年ぶりの高値水準となっている。
アナリストは、豪ドル高が輸入インフレの抑制につながると指摘。オーストラリア経済は力強く、余剰資源も少ないことから、RBA最大の懸念要因はインフレだ、との見方を示している。

総裁はこの日の講演で、一部のアジア諸国の外貨準備高が必要以上に拡大しており、金融政策にとって問題となり得るとも発言。アジア諸国が、域内貯蓄の多くを自国ではなく、海外への投資に振り向けている現状に疑問を呈した。

7月18日 ヤフー・ニュース(ロイター)

Comments

QLD、日本人観光客減少に危機感

7月18日、QLD州政府のマーガレット・キーチ Margaret Keech 観光大臣が州議会予算委員会での答弁で、「3月の海外旅行客調査で日本人旅行客が9%減少しており、この数字は旅行客の消費額では13%の減少に相当する」と述べた。また、「これほどの減少は重大な問題であり、州政府観光局とビーティ Beattie 政権が懸命にこの問題と取り組んでいる」としている。

日本人旅行客減少の原因として、日本の海外旅行市場をめぐる中国との競争、日本とオーストラリアを結ぶ航空路線の縮小化、燃料サーチャージによる旅行経費の増大、豪ドル高による旅費の高騰などを挙げ、「手頃な価格の休暇先を捜している東京在住のサラリーマンにとってみると、クイーンズランド州への旅行費用は過去3年で45%以上増大している。日本人観光市場は、州経済、特にゴールド・コーストやケアンズの経済にとって非常に重要である。しかし、そんな中でケアンズはよく頑張っていると語った。

Comments

裁判官のかつら着用の是非

ニュー・サウス・ウェールズ州 (NSW) 最高裁の判事は、数週間後に、民事訴訟での判事のかつら (wig) 着用の必要性を問う投票を実施することになった。これは、先週イギリスのイングランドとウェールズ地方を管轄する司法当局が約350年間にわたって続いてきた法廷での伝統の白いかつらの着用を、民事訴訟に限り来年1月1日から廃止すると発表したことを受けたものだ。

イギリスの法廷では裁判官や弁護士などがかつらやローブ court dress を身につける伝統があり、旧イギリス植民地の諸国においてもその習慣が残っている国が多い。2000年の旅でブリスベンのジョージ・ストリート George St. の裁判所の前を歩いているとき、たまたまかつらとローブを着けたまま他の建物へ移動中の裁判官を見かけたことがあった。
NSW州では8年前にも同様の投票が実施されており、このときは「権力の象徴」としてかつらの着用は継続すべきとの結論に至っている。西オーストラリア州では既に民事訴訟でのウイッグ使用を廃止、オーストラリア高等裁判所も1988年同制度の廃止を決定している。

イギリスでの裁判官の正装の起源は、14世紀のエドワード3世時代とされるが、弁護士や裁判官がかつらを着用するようになったのは1680年代。18世紀までは白い粉で色をつけたかつらを使用していたが、1822年に加工が不必要な白や灰色の馬毛を使用したかつらが作られ、現在でもこのかつらは当時と同じ製造会社で作られている。
イギリス最高裁判所前には伝統のかつら屋があり、新任裁判官はこのかつら屋でかつらを買い求める。このかつらは、決して洗ってはいけないとされる伝統があり、ベテランの裁判官ほどかつらが汚れているという噂まである。
法廷独特のかつらやガウンは、「権威の象徴」とされるほか、裁判に関わっている人物が誰なのかを外部から判別しにくくするという効果が挙げられているが、英国の伝統消失を懸念する声が聞かれる一方で、刑事事件を担当する裁判官や弁護士はこれまでどおりかつらの着用が義務付けられていることから、かつらの需要がまったくなくなるわけではないという。イギリスでのかつら着用の是非は、政府が15年前にこの問題の検討を始めて以来、何度も議論の対象となっていた。
裁判官が着用するかつらは、白い縮れ毛が垂れ下がった「フルボトム」と呼ばれる儀式用のかつらと、法廷で着用する「ボブウィグ」または「ベンチウィグ」と呼ばれるかつらがあり、前者はおよそ2000ポンド(約40万円)、後者は800ポンド(約16万円)ほどであるという。今回のかつら着用取りやめの決定により、新任裁判官にかつらを支給するための費用、およそ1万5千ポンド(約300万円)が節約できるという話もある。

Comments

タスマニアの海岸で「巨大イカ」

タスマニアの西岸にあるストラハン Strahan 近郊のオーシャン・ビーチ Ocean Beach で10日、深海に生息する巨大イカの死骸が打ち上げられ、科学者達の注目を浴びている。

squid.jpg 

タスマニア州公園野生局 Tasmania Parks and Wildlife の調査で深海に棲むダイオウイカ Architeuthis と判定され、当局の係官は、「イカの体重は250kg、外套は約2m、胴も2m程度はあるが、脚は絡みあっており、測れなかった。ダイオウイカはマッコウクジラのエサになり、マッコウクジラはタスマニア島の西海岸によく打ち上げられるが、ダイオウイカが打ち上げられたのは初めてだ」と語っている。

タスマニア州博物・美術館 Tasmanian Museum and Art Gallery の無脊椎動物担当学芸員主任のジェネフォー・ウォーカースミス Genefor Walker-Smith さんが科学者グループを連れて現場に駆けつけ、DNA分析のため組織標本を採取。検視のためにホバートに運ぶとしているが、おそらくこれまでに発見された中では最大級ではないかとみられている。
これまでに発見されたイカの最大記録は体長8m。ウオーカースミスさんは、「またとない発見。組織試験もするし、写真も撮り、体格の測定もする」と語っている。また、食用に向くかどうかという問題では、「ダイオウイカは深海で浮力を維持するために体に大量のアンモニアを含んでおり、料理には向かない。とてもおいしいといえるものではないはず」としている。

タスマニア博物館のデビッド・ペンバートン David Pemberton 学芸員は、「島の東や南東の海岸では時折打ち上げられるが西海岸では珍しい」と語っている。また、打ち上げられたイカは新鮮で、死んで1日も経っていないとみており、標本として博物館で陳列する予定。

Comments (1)

特別料金でバス・レーン通行可?

元NSW州道路交通局 Roads and Traffic Authority 長官のケン・ドビンソン Ken Dobinson 氏は5日、ハーバー・ブリッジ南行きバス・レーンの車両通行量に余裕があることに目をつけ、渋滞を避けたい金持ちのドライバーに特別料金を課して開放する制度を提案した。
特別料金は5ドルから20ドルの変動的なもので、バス専用車線を走る車の数が増加すると上がる仕組み。走行車数はセンサーによって感知され、交通量の変化にともなって料金が変更される。

ドビンソン氏の提案は、「バスやタクシーの間に自家用車を詰め込めば他のレーンの混雑緩和になる。『バス・レーンをご利用ください。ただし$10ドルいただきます』というわけで、もし$10でドライバーが殺到してバスの運行が遅れるようになれば、料金を$20に引き上げればいい。そのために交通量センサーを用いて、バス・レーンの交通量によって自動的に料金が変化するようにすればいい。料金が上がる直前にはRTAの標識に警告表示を出せばいい」というもの。

いわゆるHigh Occupancy Tolling (HOT:高占有率料金)と呼ばれるこの制度は、アメリカの有料道路運営会社トランスアーバン Transurban が最初に導入したもので、ドビンソン氏は、HOT制度を導入することで、ハーバー・ブリッジやトンネルの渋滞を軽減し公共交通機関に充てる資金の調達もできると、新制度の利点を訴えた。

しかし、同案は自動車ドライバー団体 NRMA (The National Roads and Motorists’ Association: 日本のJAF に似た団体)の支持を得ておらず、NRMA側は、ドライバー全員が公平に道路を使用できるようにするべきであり、より高い料金を払える者だけが優先権を得るべきではないとしている。

Comments

QLD州、ラッキー・セブンで結婚届殺到

「7」を縁起の良い数字とみなす文化は多いらしい。7月7日は七夕、牽牛・織女の伝説にちなんで結婚の誓いをと考える日本人(中国人も?)がいても不思議ではないが、オーストラリアでもラッキー・セブンにちなんで、この日に結婚届を出す人が多かったと報道されている。
クイーンズランド州の出生死亡結婚登録所は、この日中に契りを結ぼうとするカップルをさばききれず、事務所業務時間を特別延長しなければならなかった。
同州政府のケリー・シャイン司法長官は、「登録所の結婚式場は当日だけで15組の式を挙げた。登録所の式場としては新記録だ。しかも、当日は同所で式を挙げたいというカップルの問い合わせが殺到、先着順でベスト・ドレスから受け付けるという有り様で、結婚式を挙げられなかったカップルも大勢いる」と語っている。
ただし、「2007年7月7日を選んだ理由はいくつかあるようだ。7がラッキー・ナンバーだからと考えたカップルもいるし、結婚記念日に憶えやすい日だからと考えたカップルもいた」としている。
結婚式は登録所だけでなく、冬の寒さにも負けず、州各地の裁判所や教会でも行われ、セレブラントはてんてこまいの忙しさだった。(AAP)

Comments

オペラハウス、世界遺産に

ニュージーランドのクライストチャーチで開かれていた国際連合教育科学文化機関(UNESCO)世界遺産登録委員会は6月28日、シドニーのオペラハウスを世界遺産に登録すると決定した。
オーストラリア国内では17件目の世界遺産登録となる。

opera_house.jpg

モリス・イエマNSW州首相は、「我々のオペラハウスがタジマハールやエジプトのピラミッドと同列にその文化的価値を認められた。オペラハウスは、建造物として型破りな設計であり、20世紀に足跡を留めるアイコンになった」と語り、さらにオペラハウス設計者のヨルン・ウッツォンを称賛し、「至上の国民宮殿」と形容した。
連邦政府のマルコム・タンブル環境相は、シドニー・ハーバーに臨むオペラハウス北フォイヤーで、記者団に向かい、オペラハウスは世界遺産に登録されている20世紀の建造物では15箇所の一つに数えられると語り、「オペラハウスはシドニーの紋章、オーストラリアのアイコン」と称えた。NSW州政府のフランク・サートー計画大臣は、「設計者が存命中に建物が世界遺産に登録されるのはオペラハウスが2件目」と語った。タンブル大臣は、「オペラハウスは州と連邦に文化遺産として指定されており、世界遺産に登録されても今まで以上の保護を受けることはない」とした。
ヨルン・ウッツォン氏は、「世界遺産登録で、オペラハウスが、アクロポリス、ベルサイユ宮殿、万里の長城、タジマハールなどと肩を並べるのは非常に名誉なこと。オペラハウスに新しい価値を付け加えることになる」とした。また、シドニー出身のジョン・ハワード首相は、「オペラハウスはアイコンであり、貴重な建物。勇敢な建築家ヨルン・ウッツォン氏と、氏のビジョンを現実の物にした人々の努力の賜物。世界にオーストラリアの永遠の遺産として語り継がれるだろう」と語った。

Comments (1)